米国けんきゅうにっき

はじめまして!2001年に日本を飛び出し米国へ。研究分野は化学でしたが、2005年のはじめに職場を東海岸から山の中へ移し、その際に研究分野も大きく変えました。そして2010年に結婚とグリーンカード取得。さらにさらに2011年夏に再び1800マイルを東に向かい、新天地、ミシガンに生活の場を移しました。2016年夏に仕事の都合でテネシーに引っ越しました。クルマ関係の仕事ですが、未だに合間を見ては投稿論文の準備をしています。まあ、せっかくの貴重(?)な人生なので、日々の出来事を残しておくことができれば幸いです。

宇宙

其は永久に横たわる死者にあらねど...

 引き続き冥王星の話。


 英語版からたどると冥王星の地形の説明のwikiに辿れるわけだが、その中でこれまで"The Whale"という暗い部分の説明(日本でもハート型の地形とともにクジラの尾っぽみたいに紹介されていた。そこのニックネームが"Cthulhu"となっているじゃない!


 最初、スペルを見たとき、何かの間違いかと思ったんだが、正しいらしい。Cthulhuっていうのはアメリカのホラー作家のH. P. Lovecraftが創作したある神性の一柱。日本語だと「クトゥルー」がもっともポピュラーな発音だ。


 ラヴクラフトと彼の弟子や友人が書き起こした一連の創作群(クトゥルー神話体系)をワタシはよく愛読していたんだが、こんなところでお目にかかるとは思っても見ませんでした。New Horizonsのチームの誰かが付けたらしく、たぶん国際天文学連合(IAU)に正式登録されるだろうとのこと。


 誰が考えたんだろうか、最果ての地にある漆黒の模様には確かにふさわしいニックネームかも。こっちの本屋でもラヴクラフトの小説はフツーに置いてあるから、彼の小説は日本でのそれよりはるかに身近なのかもしれない。

最果ての地、凍てつく星

 いやぁ、NASAの冥王星探査機、New Horizonsが14日にとうとう冥王星再接近を果たした。New Horizonsの打ち上げは2006年で、モンタナに来てからちょうど1年経ったときだった。それから9年半かけて冥王星系に到達したわけである。正直、今日発表された高解像度の冥王星の写真を見てココロが震えた。そして改めて、青臭い言い回しだけど科学というもののすばらしさを感じた。たとえ裏側でどんなことがあったとしても、その真実の純粋さ、あるいは高潔さを感じたわけだ。


 2006年にモンタナでNew Horizons打ち上げの記事を読んだとき、自分が9年後にドコにいるだろうかと思ったんだ。モンタナには居ないだろうし、それどころか五体満足に暮らしているかもわからなかった。だが冥王星の姿だけは見ておきたいと思ったものだ。そしてその日が今日だった。冥王星の近接画像は想像通りとも言えるし、ちょっと違うとも思った。でも少なくとも思ったことのひとつ。そんなに寒そうな表情じゃないと。  さて今回の接近で冥王星とその衛星、Charonの正確な直径がわかったそうだ。まず冥王星は地球の月よりも小さいというのが目を引いた。それと上にも書いたけど冥王星の表情が思ったよりも”あたたかい”感じ。クレーターが月なんかより少ないよね。ほかの衛星の写真も撮影する予定があるのだろうかとも思う(冥王星系にはCharonを含めて5つの衛星がある)。


 冥王星の直径決定は学術的に非常に有意義なことだと思うが、もっとエモーショナルなこともある。冥王星発見者のクライド・トンボーの遺灰の一部がNew Horizonsに搭載されていることだ。彼の英語版のWikiを読むと、勉学のために苦労されていたことが伺える。でもいろいろあって冥王星を見つけられたし、その後のすばらし天文学上の業績もあった。自分の現在と見比べて、ちょっと勇気づけられる。残念なのがNew Horizonsを打ち上げるずいぶん前に亡くなられたこと。一方で冥王星の英語名(というか元々の名前)、”Pluto”の名付け親となったヴェネチア・バーニーもNew Horizonsの冥王星再接近を待たずして2007年にこの世を去っている。彼女の名前を冠した測定装置がNew Horizonsには搭載されているあたり、開発チームは冥王星発見時の人々に大いなる敬意をはらっているように感じられる。


 これから冥王星に関してもっといろいろなことがわかってくることだろう。New Horizonsから送られるデータは光の速度でも地球にたどり着くのに4時間半かかる。しかも通信速度は現時点で約800bit/secだそうである。本体には8GBのローカルストレージを持っているそうだが、冥王星観測終了後にローカルストレージ内の全データを地球に送信完了するのに16ヶ月はかかるとか。なんだか気の遠くなりそうな話である。再接近直前の通信途絶などの障害をよくリカバリーしたものである。そういった様々なことを考えると、ちょっとこの冥王星探査には神懸かるなにかを感じてしまう。


 でも、まずはおめでとう。 
 

英語の教科書

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 今日は郵便受けを見に行く時に目の前の夜空にオリオン座が浮かんでいた。そーいえば昨日からデスクトップの壁紙をハッブルが撮影した高解像度のオリオン座大星雲の写真にしたな~とボ~っと考えていたのだった。

 日本のメディアでは朝日新聞しか取り上げていなかったが、今月の17日、米東海岸時間で昼1時24分に冥王星探査機「New Horizons」が打ち上げられるそうだ。てっきりNASAの予算縮小のあおりを受けて、冥王星探査計画は頓挫したものだと思っていたのだが、着々と根回しをしていたみたいだね。来週には宇宙へ旅立つ模様。
 さすがに朝日新聞だけがソースとゆーのも心許ないので、ちょっとNASAのサイトを探してみたら、見つかったのはJohn Hopkinsの物理学科のサイトだ。もちろんNASAにもこのNew Horizonsのサイトはあるのだが、どーやらJohn Hopkinsが主体になっているみたい。
 さてこの探査機のスケジュールを見ると、意外とはやく冥王星に辿り着くみたいだね。(予定では2015年とゆーことなので約8年で着くことになる。)いやーちょっと楽しみだな~。

 ところでクラシック音楽のハナシになるのだが太陽系の惑星群を題材にした組曲がある。Gustav Holstの組曲「惑星」だ。ワタシはずいぶんむかしに右のAmazonのリンクにあるLPを購入したことがあり、未だに日本の自宅にあるはずだ。まあなかなか有名な曲でもあるのでご存じの方も居られるハズ。最近では平原綾香がデビュー曲としてこの組曲「惑星」の「木星」をベースとした曲を発表している。(これはiTMSでも試聴、購入可能。)まっ、そんなカンジなので、「木星」の知名度はこの組曲「惑星」のなかでは特に大きいわけだが、ワタシが好きなのは最後の「海王星~神秘なる者」である。基本的に女性声楽曲なのだが、最後は消え入るようなカンジがゾクゾクするわけだ。
 そんな組曲「惑星」だが、地球はともかくとして、今日のお題の冥王星が含まれていない。これはこの曲の発表が1916年であるのに対して、冥王星の発見が1930年であるためである。

 ハナシは再び「New Horizons」に戻るが、この探査機の測定装置の名称がなんだかほほえましい。Ralph(可視および赤外分光器)、Alice(紫外分光器)、REX(ラジオ波測定器)はいいとして、SWAP(太陽風の測定器)やPEPSSI(質量分析器の一種か?)なんてのはなんだかフザケているよーな気すら感じられるのだが......まあともかくとして50億キロの長旅の平穏を祈ろうか。

 と、アサヒのニュースを見ていたら、再び冥王星関連の記事。MITのグループが冥王星の衛星「カロン」に関する研究成果を発表したそーだ。

衛星に大気なし、地表は「逆温暖化」 冥王星の「ナゾ」

 太陽系の第9惑星の冥王星を回っている衛星(月)の「カロン」には大気がないことを、米マサチューセッツ工科大などの研究グループが突き止めた。直径が冥王星の半分もあるカロンがどうやってできたのかは謎。グループは、冥王星に天体が衝突し、吹き飛ばされたちりが集まってカロンができた、という説と観測結果が合うとしている。5日付の英科学誌ネイチャーで発表した。


太陽系の外へ

 くっそー、今日は最後にやっちまった~(T△T)精製したタンパク質は通常、注射器で吸って液体窒素に一滴ずつ落として"凍ったボール"にしてから保存するのですが、その凍らせるときに注射器の針を液体窒素表面に近づけすぎたために針先端部にいるタンパク質が凍ってしまったのです。そのときすでに注射器にピストンを押してしまっていたので、その先端部の凍ったタンパク質がとけるやいなや、勢いよく飛び出してしまった......だいたい0.3マイクロリットルを失いましたε-(ーдー)ハァ

 Washington D.C.のSmithsonianの一部であるNational Air & Space Museumで撮影した写真です。

Pioneer 10
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 パイオニア10号といえば1983年に人類で最初に太陽系から飛び出した宇宙船です。そして2003年1月22日にパイオニア10号からの微弱信号をNASAの深宇宙ネットワーク(DSN)がとらえたのを最後に信号を観測することはできませんでした。現在の地球からの距離は80億マイル(128億キロメートル)だそうです。

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 ところでパイオニア10号及びその姉妹機11号には地球に知的生命体(私たち)が存在することを示す金属板が搭載されています。もし彼らの旅路の途中で私たち以外の知的生命体に出会うことがあれば、このプレートが私たちの存在を主張してくれるでしょうね。
 パイオニア10号はこのまま牡牛座の赤い星、アルデバランへ、11号は鷲座と射手座の方向へ向かっています。アルデバランの地球からの距離は68光年(光が1年で届く距離を1光年と表します)、200万年かけてたどり着くそうです。
 このパイオニアの話を見るといつも思い出すのが「スタートレック」の最初の映画のラストシーン。あれを思い出すといつもちょっとホロリとしてしまいます(えっ、ワタシだけ?
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