米国けんきゅうにっき

はじめまして!2001年に日本を飛び出し米国へ。研究分野は化学でしたが、2005年のはじめに職場を東海岸から山の中へ移し、その際に研究分野も大きく変えました。そして2010年に結婚とグリーンカード取得。さらにさらに2011年夏に再び1800マイルを東に向かい、新天地、ミシガンに生活の場を移しました。2016年夏に仕事の都合でテネシーに引っ越しました。クルマ関係の仕事ですが、未だに合間を見ては投稿論文の準備をしています。まあ、せっかくの貴重(?)な人生なので、日々の出来事を残しておくことができれば幸いです。

研究

くりっくけみすとりぃ

 ノーベル化学賞の受賞者、3博士が発表されましたね。受賞理由は「簡便な化学反応や生物学的反応を使って機能性分子を作る手法の開発」だとか。クリックケミストリーは水系で行うことができるから、近年の生化学でも注目されていた。ワタシも以前に申請書にクリックケミストリーを利用した巨大分子表面の修飾を盛り込んだ研究計画を書いたことがあるよ。


 ところで今回の受賞者の一人、シャープレス博士は今回で2回目のノーベル化学賞受賞だね。以前の受賞理由はシャープレス酸化だったかな。有機金属化学の重鎮ですね。昔、大学院生のころに研究室の抄録会(他者の論文を精読してグループ内で発表する場)でシャープレス博士の論文を取り上げたことがある。当時は金属錯体による酸化反応に興味があって、ちょうど彼のチタン錯体によるシャープレス酸化の反応機構考察が学会誌に報告されていた。それで自分の専門分野とはちょっと違うけど彼の研究は良く追っていた。まあ今は昔ですね。


最終講演を聞く

 昨夜(日本時間では昼頃)はワタシの大学院時代の指導教官だった教授が退官されるということで最終講演が開催された。同窓会名簿経由で事前通達があったのと、コロナ禍の影響でWebinarでの同時開催もおこなうということだったので参加というか聴講することにした。


 ちなみに今回の最終講演はワタシの恩師だけではなく、ワタシの博士論文のコミッティーメンバーの一人だった方も退官にあわせて最終講演を行うとのことでお二方の合同講演だった。そのため2人の講演が終わったのはこちらの時間で午前3時を回ったくらい、翌朝がちょっときつかった。


 講演自体はいろいろな昔話を聞けてなかなか面白かった。また研究内容なども、ちょっと昔を思い出して懐かしかった。まあそんなA先生も退官か~、自分も50だし、まあそうなるわな。2001年に米国に来る前の(大学4年生から出入りしていたんで)6年間をその研究室で過ごした(学位取得自体は2000年)。これって学校生活の中では小学校と匹敵する長さなんだよね。更に言えば小学校時代と違って意識やら記憶がしっかり残っているから、いろいろと感慨深い。まあこれでT〇大に行く機会もますます減ることだろう。いずれにせよですがお疲れさまでした。


化学療法第1ラウンド開始

Blog_08_04_2021_00.jpg 今日から化学(抗がん剤)治療開始。今回の治療スキームは補助化学療法 (アジュバント療法)ということで、3週間を一区切りに4ラウンドの3か月間の治療期間となる。1ラウンドあたり1回の静脈経由での投薬と14日間の経口薬投与、そして1週間の投薬休止期間からなる。想定されうる主な副反応は免疫低下や意気消沈、吐き気・めまいなどの症状と低温への知覚過敏性。そんな説明を先週金曜日の治療前教育に受けた。そして本日、朝からオンコロジーの処置室に赴いたわけだ。到着後にまずは処置前の血液サンプルを採取してもらう。ちなみにワタシがついた時には処置室にはまだ患者もまばらで好きなシートに座ってくれのことだったので、窓際の席を陣取る。処置時間は3時間超とのことだったので、家から適当な小説を持ってきて時間をつぶすことにした。


 経口服用薬はカペシタビン(Capecitabine)という結腸癌などの術後化学療法で使われる薬剤だとのこと。ちょっとサイズがでデカくて飲みにくい。1錠あたり500mgを3錠、一回あたりに飲む。これを午前と午後、1日2回。細胞にとって毒性を示す代謝拮抗剤に分類されるそうだ。下の化学構造を見るとRNAの構成要素であるピリミジン誘導体(六角形の構造)が含まれている。このフッ素を含む六員環が抗がん作用の活性型とのこと。ちなみに今日の午後の分を飲むとき、次の抗がん剤による知覚麻痺のため、3錠、落としてしまった。明日、薬局に補填分について話さなければならない...

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 オンコロジーの処置室にて静脈経由での投薬をしたのがオキサリプラチン(oxaliplatin)、私の専攻だった生物無機化学では有名な白金製剤系の抗がん剤だ。大学の講義で教わるシスプラチンは脱離基が塩化物イオンなのだが、このオキサリプラチンはシュウ酸イオン(下の構造のPtの右側の部分)。シュウ酸自体が人体に有毒なので、これが副反応の一因。もう一つは白金製剤そのものの毒性だそうだ。こちらは投薬後、一定期間休まないと回復しないそうだ。今日の投薬量は238mgと書かれていたので、今回の3か月の治療で900mg超を投薬されることになるね。ちなみにこのオキサリプラチンを投薬する前にステロイド(Dexamethasone)と制吐剤(Palonosetron)を静脈経由で投薬、オキサリプラチンを投薬する際は担当看護師が防護服を着たうえで看護師2人で再度確認後に行われた。かなり慎重な扱いであった。

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 ところで制吐剤は経口薬としてプロクロルペラジン(Prochlorperazine)も処方されている。自宅療養中でどうしても吐き気を抑えられない場合は躊躇せずに飲むように言われた。今回は帰宅した後、夕方ごろになってちょっとマズそうだったので1錠服用。10mgだけだが、ちょっと気分が楽になった。調べたら神経遮断剤で統合失調症の治療に使われるんだとか。今回の抗がん剤の副作用緩和の目的でも投薬されるそうだけど。

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 もう1種類、緩和用の処方剤をもらっているんだけど、このプロクロルペラジンで改善が見られない場合は飲むようにとのこと。まだ使っていないので今回は説明を割愛。まあこんな風に多剤をうまく使って治療していくのはひとえに学問の進歩なのだと改めて思いますわ。


コロナワクチン接種2回目

 先日のワクチン接種に続き2回目の接種を受けてきた。ワタシが受けていたModernaのワクチンは2回目接種には30日間を置かなければならないのに対してMぽんが受けたPfizerのワクチンは3週間の間隔だったため、2回目の接種は夫婦共に同じ日に受けた。


 さて副反応であるが、巷でいわれていた様にそれなりにキツかったと個人的には思う。実際、金曜日の午前中に受けてから身体がだるくなり始めたのが夕方くらい。それから土曜日はダルくて終日、ベッドで寝ていた。今日、半日もちょっとだるく感じたくらいである。Mぽんも昨日、一日はずっとベッドに臥せっていたので、我々の結果を単純に見ればPfizer製、Moderna製にかかわらず副反応が重かったようになる。


 ではどれくらいだるかったのかといえばだね、客観的には言えないのだけれども(インフルエンザに罹った記憶がないので比較できないのもあるが)、身体中の関節が痛いんだよね。ワタシは風邪を引くといつもそうなるので、それに近いんだがそれよりも重度だったような気がする。ちなみに体温を測る限りでは平熱ではあった。


 ベッドに1日半臥せっていたんだが、ずっと寝れているわけではないし、そもそも長時間横になっていると腰が痛くなる。そんなダルさの中、覚醒中に今回のワクチンのことをちらっと考えていた。ワタシのModerna、MぽんのPfizerも同様、ヌクレオチド修飾メッセンジャーRNA(mRNA)型のプラットフォームで人類のコミュニティに大量に接種するものとしては史上初のものとなる。詳しい作用機構は門外漢なので正しい情報を一からは語れないが、このmRNAにコードされたコロナウイルスの(感染に重要な役割をもつ)表面タンパク質のみをヒトの体内で生産させ抗体を発現させることで免疫を獲得するという概念は理にかなっていると思う。


 遺伝子のコトはあまり好きではなかったので(研究者時代はバクテリアの遺伝子ばかりだったので、研究の難易度は遥かに高いことは想像できるが)個人的にはmRNA云々のハナシよりもドラッグデリバリの手法に興味がある。RNA自体は一般的に不安定なので体内の目的地(この場合は細胞内)まで送る(これをドラッグデリバリという)ためにはこのRNAを保護しなければならない。今回のワクチンではリン脂質をポリエチレングリコールで修飾したものを使ってナノスケールでミセル化(極性によって球状化したナノ構造、Lipid NanoParticleとよく呼ばれているもの)させ、この中にmRNAを封入したものを使っているようである。


 さてベッドに臥せっていた間に思い出したのが、10年ほど前にMichiganに来る前のMontanaにいた頃のことだ。自分の研究背景にこのナノ粒子を使った研究提案を日本の競争的研究資金公募の提出したことがある。書類選考までは通ったので良いところまでは行ったのだが、2次のプレゼンで撃沈した。あの提案はリン脂質ではなくて下の絵のようなあるウイルスの殻タンパク質に目的の酵素を封入しナノデバイスを作るというものだったのだが、確かに当時でも脂質ナノ粒子を使った研究はかなりホットな話題だった。

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 ところでリン脂質自体はワタシの黒歴史のミシガン大時代でもよく使っていた。膜タンパク質の可溶化に一般的に用いるのだが、その辺でナノディスクやら結晶化への応用などでよく耳にしていたな。


 いずれにせよなのだが、このmRNAワクチンの技術はいろいろな分野の研究の集合体だ。確かに身をもって副反応を経験したわけだが、このコロナ禍を乗り越えるための人類の叡智の一つだと思う。だからといって全員が接種すべきだと言う気はないし、接種の取捨選択は個人の事情や信念によるだろう。ただワタシは開発・臨床に携わったすべての人に敬意を表したいと思う。
 

Old Nation Brewing

blog_2015_12_06_00.jpg 感謝祭の前ぎりぎりにやっとモンタナ時代の元ボスに論文のドラフトを送付できた。いやぁ、2006年から実験始めてモンタナを去る2011年までデータを取り続けて、さらにミシガンにいる4年の間にゆっくりと書いていた論文がやっとチェックの段階(まだ投稿ではないのがミソ)にたどり着いたわけである。感慨深いわけがないね。一応、2009年くらいに一度、ドラフト書いてボスに渡したことがあったが、そのうち執筆方針が変更になったのでここまで引っ張ってしまった。無事にパブリッシュまで持っていければよいんだがな。まあその間、空いたリソースでもう一つのモンタナ時代のやり残しを片付けるかというところだな。まあ自分のテーマではなかったが、院生のFくんがラボを去り、そのまま放置されているネタがある。本来は彼が片付けるモノだが(それでPhDをとったのだから)一応、NSFのプロポーザル書いた一人だからね、それなりに責任感も感じている。さすがに自分を第一著者にする気はないがな。ミシガン大のネタもまだ投稿すらしてないんでこっちの執筆もしなければとは思っているが、こっちはボスが理不尽だから時間がさらにかかりそう...


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店内には清潔感が溢れていた雰囲気に酔いしれるの図まあ新しいんだよね


 本日のネタはまた新規ブルワリの開拓である。Old Nation Brewing Companyというところで、Lansingの近くの田園風景が似合う町、Williamstonという場所の端にある。


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10 penny bitGypsy Black IPA買わなかったけどグロウラ


 10 Penny BitはIBU20の比較的苦みが薄いビール。ホップのバランスもよく飲みやすいビールだ。一方でGypsy Black IPAは色でスタウトと見紛いそうだが、味はれっきとしたIPA。ホップのシトラス味が清涼感を醸し出している。


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店の奥には立派な醸造施設が見えますミシガン風の小物夏はパティオで盛り上がれる


 店内の雰囲気も○。外観も新し目でいいね。なかなかオススメのブルワリなので、Lansing方面に行く方はぜひ、お立ちよりあれ。
 
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