米国けんきゅうにっき

はじめまして!2001年に日本を飛び出し米国へ。研究分野は化学でしたが、2005年のはじめに職場を東海岸から山の中へ移し、その際に研究分野も大きく変えました。そして2010年に結婚とグリーンカード取得。さらにさらに2011年夏に再び1800マイルを東に向かい、新天地、ミシガンに生活の場を移しました。せっかくの貴重(?)な人生なので、日々の出来事を残しておくことができれば幸いです。

2011年06月

久しぶりの半徹夜

 つい先日の電子スピン共鳴の測定も終わって、このラボでやるべき実験はシアン化物による阻害反応の再確認を残すのみとなった。個人的にはストップドフローによるシングルターンオーバーの実験も行いたかったが、明らかに時間が足りないので、ココは涙をのんであきらめることに......論文もやっと再投稿にこぎ着けた。すでに2回、リジェクトをくらっていて、最初の投稿から2年も過ぎ去ってしまったんだが......まあ残りのデータ分の論文はMichiganに行ってから、ゆっくり料理することにする。

 さてこの電子スピン共鳴のサンプル調整のため、今週の日曜日はラボで午前様になっていた。サンプルをできるだけフレッシュな状態で測定したかったためである。まあこの目論見は徒労となってしまったわけであるが......そんなことよりも、その日以来、ちょっと体調が悪い。特におなかが張っている感じである。もう40直前でムリしたのがたたっているんだろうけど、それ以上になにかヘンである。とりあえず、腸がおかしいように感じられたので、日本から持参してきたビオフェルミンを飲んでみたが効果が薄い。仕方がないので、こっちでおなかにガスがたまっているのを緩和する市販薬、Gas-Xなるものを服用してみた。まあこれも効果があるようなないような......ちなみに米国で市販薬棚をみるといつも思うんだが、どーしてExtra Strength以上しか棚に置いてないんだろうね(まあたまたまかもしれないんだが......)

引っ越しの準備

 前々回のエントリでも触れたが、この夏に引っ越すことになった。場所はMichigan州のAnn Arborという街だ。街の大きさは茨城の水戸市と同じくらいの大きさ。

 ちなみにAnn Arborは2005年の夏に国際学会に参加するために訪れたことがある。その際は自分の車で4日くらいかかって行った記憶があるのだが、今回は家財道具も運ぶつもりのため、自分の車だけで行くわけにはいかない。そーいうわけで、今回の引っ越しは、こっちでは定番のU-Haulをレンタルするつもり。そんで自分の車はトラックに牽引して持って行く予定だ。

 まあU-Haulのことはともかく、まずはAnn Arborでのアパート探し。今回は現地に行く暇がないため、ネットで目星をつけて、先方のオフィスに電話して探すというスタイルとなった。本来ならちゃんと現地で物件を見たいところなんだけど、以前にAnn Arborに行った時の記憶では、綺麗で治安の良い街という印象だったので、その辺は妥協。2週間ほど前にAnn Arborのアパートメントオフィスに電話してアプリケーションをファックスしたら、その1週間後に先方から現アパートのオフィスに問い合わせが来たみたいでプロセスはちゃんと進行している模様。アプリケーションを出すときに住所などは7月中旬に決まるからと言われたので、それくらいになって連絡が無ければ、こっちから連絡するつもり。

 U-Haulの方はオンラインで予約だけしたのだが、ワタシの不注意でピックアップをEnnisにしてしまったので、電話して予約内容を訂正してもらった。まあここの予約システムは悪名高いので、また電話して確認やらをしなければなるまい。一応、トラックは17フィートのやつに牽引用のカートをくっけて予約している。これでどれくらいの速度で巡航できるんだろ......

 あとは来月の半ばに30days Noticeを現アパートオフィスに提出すれば本格的に引っ越しが始まることになる。さてさて、ちょっとしたアドベンチャーの始まりである。

極低温電子スピン共鳴

 来週の始めに液体ヘリウム温度で電子スピン共鳴(ESR or EPR)によるタンパク質の測定を行うのだが、サンプルをできるだけフレッシュな状態で測定したいため、週末にかけてサンプル調製をしている。ところが、前エントリでもふれたのだが、分子量分画用のゲル濾過クロマトグラフィーの一つであるSuperdex200のカラムが割れてしまったため、ちょっと実験計画に狂いが生じている。

 まあ今更、過ぎたことを言っても仕方がないんだが、個人的には収まらないので、ここでグダグダ書かせてもらおう(というわけで、本エントリは不満の垂れ流しなので読み飛ばしてもらって結構である)。


 今回測定する試料は、以前にも触れた亜酸化窒素還元酵素というタンパク質のある酸化状態のもの。以前も測定をしたのだが、どうも明瞭な結果が得られなかったために再測定となったものである。

 この愚痴を始める前にちょっと背景を説明しよう。亜酸化窒素還元酵素は全部で12コの銅イオンをもつタンパク質なのだが、これは空気中に放置すると銅イオンを失ってしまう。それに伴い酵素活性も失われてしまうため、精製などは嫌気雰囲気下で行わなければならない。だから酵素活性の有無は実験者の嫌気下での操作にかかっているといっても過言ではない。

 2005年にこのラボに参加してからすでに34回、精製を行っているが、最初の頃の4回くらいはまったく活性を持たないタンパク質しか得られず、10回目くらいまでは低活性のものしか精製できなかった。まあ言いたいことは、何度も精製を繰り返して経験を積まないと高活性のタンパク質が得られなかったということなんだが......まあともかく、この亜酸化窒素還元酵素を精製する場合、ワタシはルーチンワーク(必ず行う決まり切った作業)として、まずタンパク質濃度を決定する。通常は紫外吸収帯の強度から見積もるのとタンパク質アッセイ(ワタシの場合はBCAかビュレット法)で濃度を見積もってから、それぞれの値がほぼ同じであることを確認する(もし同じにならなければ精製度が悪い可能性があるので、高活性は望めない)。そして銅イオンの量(原子吸光法)と無機硫黄の量(Broderick法)を決定してから、酵素活性を測定する。従って、酵素活性が低かったり、銅イオン量が少なかったロットは当然、クリティカルな実験には使用しない。これがスタンダードだ。

 で、今回の酸化状態のタンパク質はさらにフェリシアン化カリウムで酸化してから、さらにある試薬を用いて部分還元させることで得られる。ちなみにこの酸化状態のタンパク質にとっても興味を持っていたのが、Stanfordの某有名な計算化学のグループ。ワタシの前任者にも催促していたのだが、うまくできなくてお蔵入りしていた。

 最近(といってももう4年ほど前)になって、ワタシはその酸化状態のタンパク質を得る良いアイデアを思いついた(ちなみにちょうどその頃にボスを説得して購入したのが、上述のSuperdex200カラムだ。だから壊されてかなりアタマに来ているのもわかっていただけるかな?)。そんでそのアイデア通りにやってみたら、予想通りにその酸化状態とおぼしきモノが得られたわけ。ただそれを証明するためにEPRを測定してスピン状態を同定しなければならない。そーいうわけで、いままで時間が掛かっていたのだ。

 さてさらに最近になって、その某学生がその酸化状態の亜酸化窒素還元酵素を用いた実験を始めたんだ。ただそいつの実験にはちょっと問題がある。先ほど述べたスタンダードを全く満たしていないタンパク質を用いて実験しているのだ。もちろん嫌気下での精製法や一通りの同定法はレクチャーしたんだがね。こんな状態のものを用いて結果が出てきても、正直言えば評価できないと思うんだ。例えば、ワタシの測定した電子スペクトルと彼のを比較すると強度が違うんだよ。それで銅イオンの量を聞くと少ないとか、酵素活性を測っていないとかいうわけさ。

 まあ学術的なワタシの彼に対する不満は最終的に本人の問題となるので、それは良いとしよう。ただそんな稚拙な実験をしていて装置を壊しましたというのはちょっとむかつくわ。特に前エントリでも触れたけど、ワタシにはここでの時間がもう2ヶ月を切っているんだよ。そのタイミングで機器が1,2週間使えなくなるっていうのは、正直イタい。

 さらに言おうか。来週のEPR測定は3週間前には彼に告知してあった。そしてワタシはできるだけフレッシュなサンプルが欲しかったから、今週の終わりにSuperdex200を使いたかったんだ。壊した日の前日、ワタシが帰宅する直前に、「壊さないでね」と言ったにもかかわらず壊すってのはどうなのよとマジで思う。なんで念を押したのかと言えば、むか~しキャンプで食材をこぼさないでねと言った矢先にこぼしたりしていたのを思い出したからなんだが、それ以上に彼が長時間の実験をずっと集中して行っているのを見たことがなかったから。なんか精製中とかも椅子に座っていたり(まあそれを言うのはあまりに口やかましすぎるかもしれないけど、ワタシが大学院生の頃にそんな態度だったら、こってり絞られてたわな)、重要な実験をやっていそうでも必ず食事に中座したり(まあ空腹で集中力が欠けてしまうってことなんだろうけど......)、極めつけは朝が非常に遅かったり(でも酷いときは11時くらいにやって来て、帰りは6時、昼飯に2時間とか......)。そんな生活をほぼ毎日見せつけられていると、彼の実験およびそこから得られる結果に対してどーしても斜に見てしまうわ。

 まあぐだぐだ書いたが、言いたいことは一つ。正直言ってこのラボで彼と研究をともにしていくのはムリということだ。ここの研究テーマは個人的にはとっても興味がある。もっと言えば愛しているといってもいいや。彼がここに参加するときに聞いたんだよね~、亜酸化窒素還元酵素に興味があるの?って。そーしたらどんな返事が返ってきたと思う?

「正直、亜酸化窒素還元酵素には興味がありません。」

 あのときはとっても悲しかったな。ただ今思えば、アノ時点でコイツとは会わないということだったんだろうね。

次の勤め先

 ちょっと間が空いてしまったこのブログ。ちょうど1月ほど前に南部の大学からvisiting facultyのジョブオファをもらってからいろいろとありました。

 まず現ボスと前ボスに意見を伺ったところ、真っ向から分かれたんだな。東海岸の元ボスは”visiting facultyでteachingの経験を稼げば次のキャリアステップに結びつき、次のポジション探しに有利に働く”ということだったのだが、現ボスは”その南部の大学でvisiting facultyをやるのはリスクが高い割に、リターンが少なすぎる”という意見だった。特にその南部の大学は一般化学と無機化学、生物化学を教えるのが義務になるんだが、授業を受け持ったことのない人間が最初にteaching experienceを稼ぐにはあまりにチャレンジングだとのこと。まあ確かにその通りなんだが......現ボスのスタンスとしては、研究をこれからも生業にしていきたいならば、その南部の大学でテンポラリなポジションを選ぶんではなくて、どこか良い大学のポスドクなどのポジションを選んだ方が良いということ。そして、もしそこでtenure-trackを得られなかったら、そこでデッドエンドだぞとも。もっともな話だと思うんだが、Montanaでの過去を振り返ってみると、決して研究活動が活発だったか(つまり論文をちゃんとコンスタントに出せていたか)といえば、そうではなかった。(だからここから出て行くというのは、個人的には大前提なんだ)それも鑑みてのvisiting faculty(すなわちteaching主体のポジション)という選択だったのだが、あまりにボスが強くその南部の大学を薦めなかったのでずいぶん悩んだわけさ。

 他の意見として、たまたまGSでガソリンを入れていたMichealを見かけたので聞いてみた。彼は一昨年からButteにあるMontana Techでfacultyとして働いているのだ。彼は即答でMichiganに行くべきだと進言してくれた。特に彼はMontana Techで苦労しているらしく(オファをくれた南部の大学はMontana Techと似たような規模。レベルの大学)、今のボスと同じような意見であった。

 まあいろいろあったんだが、結果としてもう一回、ポスドクをすることにした。これで米国では3つめのポスドクとなる。(日本でのポスドクを含めれば4つめだ)ただし、今回の大学は米国でも高ランキングの大学、University of Michiganである。Johns Hopkins(実はこの大学のポスドク先も現ボスから紹介してくれたんだが、こっちは断った)とともに米国の医療技術を担う大学であるんだが、まさに今回のポスドク先はmedical schoolの麻酔学科(Department of Anesthesiology)。大学院で錯体化学をやっていたのに、ここまで大きく分野が変わるとは思ってもいなかったわ。

 Michiganの先生とは2,3回、電話インタビューをして先方はワタシを評価してくれたみたいで、オファをいただいた。南部の大学を断った翌日のことである。ちなみに一応、teachingをすることはできるか聞いてみたんだがその機会は皆無らしい。(この質問がワタシにオファを出すことの懸念材料になったらしく、何度か電話インタビューをすることになった)まあ、UMに行くんだから、研究に邁進せよという天の声だろう。

 さて決断をしたので、ここでの仕事のまとめに入らなければならなくなった。現ボスは秋口まで居てほしかった模様だが、UMの先生ができるだけ早く来てほしいということだったので、Montanaの最終日は8月10日とし、19日までにUniversity of Michiganに着任することと相成った。そうなるとここでの時間はあと2ヶ月。まだ出していない論文は3つあるんだが、ここに来て阻害剤のデータの洗い直し、EPRの測定が必要となった。後者は液体ヘリウムが届いたので今月末には測定できるんだが、ウチの学生がこれまた最悪のタイミングでS200カラムを壊してくれましたわ。タダでさえ6時には帰るヤツが、誰も頼んでないのに慣れない徹夜なんかするからとは思ったが......まあ仕方ない。この逆境をなんとしても乗り越えねば!

最近できたBozemanのブルワリ

 今日は午前中に洗濯を終えた後、中古の自転車を物色しに町外れのサイクルショップに行ってきた。というのは次に引っ越すところはBozemanよりも大きい街で大学のパーキングパーミットも高いので、自転車で通勤しようかと思っているのである。最初はWal☆Martのやっす~い自転車でも良いかなと思っていたのだが、下の階のMさん曰く(彼はアウトドア関連の装備には一言あるのだ......)、絶対にWal☆Martなんかの量販店では買わない方が良いとのありがたい忠告をいただいた。そんなわけで、Bike Peddlerというバイクショップに行ってきたのである。

 さて今日はどんな中古の在庫があるかな~と思っていたくらいだったので、このBike Peddlerにはちょびっとしか居なかった。店員のBradに説明をしてもらって試乗するか訊かれたのだが、雷雲が迫っていたので今回はパス。それよりもこのバイクショップについてから気になっていたお隣のブルワリの方が気になって落ち着いて居られなくなっていた。そーいうわけで、そのブルワリ、406 Brewing Companyに立ち寄ったのである。

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開店したての模様サーバーハンドルとメニューが見える
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Jammer Ale(左)とIPA(右)カウンター奥にはグロウラーもあり


 さてこの406 Brewing Companyだが開店してから6週間しか経っていないとか。この間のBrewery Festivalでも出店していて、近いうちに開店するとは言っていたのだが、まさかバイクショップの隣だとは。ちなみになんで406なのかと言うと、その回答は妻がTravisからレクチャーを受けていたらしく、店の前で彼女が教えてくれた。Bozemanのエリアコード(市外局番)であると。

 テイスティングルーム内は結構、広々していて良い雰囲気。今日も男女同率くらいでお客がいた。ワタシたちはカウンター席にいってJammer AleとImpressment IPAを注文。IPAはいつもの様にホップが利いたビール、Aleの方はちょっと優しい風味だった。

 カウンターということで、サーバーのおねいさんに開店時間を聞くとなんと日曜日もやっているとか。ワタシが知る限りでは日曜にやっているテイスティングルームは知らなかったので、ちょっと脳内で小躍り。まあこの夏の間に何度か来ようと心に誓う。と、店の奥から、見覚えのあるヤツが出てきた。なんと隣のラボのTravis(上述のTravisとは別人)ではないかね?何してるんだと訊くと、週末はこっちで働いているんだと。そーいえばBrewery Festivalでも主催者側で働いてたな、彼は。

 さて1パイントを飲み干して店を出ると、雷雲がまさに真上にあるらしく、ものすごい集中豪雨であった。仕方がないのでしばらくこの店内にある前衛絵画を眺めていたのだが、なかなか良い土曜日の午後の時間であった。
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