米国けんきゅうにっき

はじめまして!2001年に日本を飛び出し米国へ。研究分野は化学でしたが、2005年のはじめに職場を東海岸から山の中へ移し、その際に研究分野も大きく変えました。そして2010年に結婚とグリーンカード取得。さらにさらに2011年夏に再び1800マイルを東に向かい、新天地、ミシガンに生活の場を移しました。2016年夏に仕事の都合でテネシーに引っ越しました。クルマ関係の仕事ですが、未だに合間を見ては投稿論文の準備をしています。まあ、せっかくの貴重(?)な人生なので、日々の出来事を残しておくことができれば幸いです。

2008年02月

怪奇月食だってさ

 くそ~、たったいま精製中のタンパク質をこぼした。しかも半分も!このやり場のない怒りをどこへ向ければよいのやら......希釈したタンパク質をスーパーループ経由でMonoQカラムにロードしている最中の出来事だ。全部、アルゴン雰囲気下で操作しなければならないので、150mLのフラスコもセプタムで蓋をしてあり、それにガスを供給するニードルチューブを突き刺していたのだ。その中に希釈されたタンパク質があり、これをガスタイトシリンジで吸い上げてスーパーループにロードする作業をしていたところ、タンパク質の入ったフラスコがバランスを崩して机から落ちてしまったのよ......orz 低温室な上に今日の終盤の作業にさしかかっていたから疲れていて、集中力が欠けたかな......だいたい半分くらい失ったと思われます、くっそ~

 ときに昨夜は皆既月食だった。カツを揚げながら、ときどきは夜空を眺めていたのだよ。

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 だんだん欠けていくのを眺めていると、隣人が出現。ちょっくら話をしたのであった。

ヘモステイン

 あ~、ハラヘッタ。でも今はラボから出られないのでがまんがまん......明日からまた精製をやるので、その準備もしなければ。来週はミネソタ大から知り合いの先生がやってくる。講演のためなのだが、たぶんその前後はディスカッション等があるのでバタバタすることだろう。そんなワケで比較的時間に余裕のある今週中に精製を終えたいのである。そーいうわけで、今夜は早めに帰宅してカツを揚げようと思う。

 さて久々に研究の話題。現在、タンパク質同士の相互作用を調べている。で、ワタシのターゲットにしている酵素といくつかのタンパク質の相互作用なのだが、今回はネガティヴコントロールとしてウシの心臓由来のチトクロムcとの相互作用を調べた。

 ネイティヴの電気泳動ゲルではチトクロムc存在下のほうが非存在下よりも移動度が遅かったため、また光散乱でもチトクロムc存在下では粒子径が大きく観測されたため、チトクロムcは結合してターゲット酵素と複合体を形成しているのではと思ったのだ。そこでゲル上のバンドにチトクロムcが含まれているかを確認するための分析法を模索していた。もしチトクロムcの抗体を持っていればウエスタンブロットで確認できるのだが、ウチのラボにはそれはないのでタイトルにあるようにヘム(ポルフィリンを配位子とする鉄錯体の総称)のみを選択的に染色するヘムステインを行うことにした。

 今回のヘムステインはかなり初期の論文(Francis, R. T. and Becker, R. R. Anal. Biochem., 1984, 136, 509-514)を元にしている。基本原理はシトクロムに含まれるヘムによる過酸化水素存在条件でのペルオキシダーゼ反応である。ヘムと過酸化水素の組み合わせは酸化剤として働くので、この酸化剤でほどよく酸化されてしまいかつ酸化され生成したものが特徴的な色を持てば、色の存在がヘムの存在を示唆することになる。参考の文献ではo-ジアニシジン(IUPAC名は3,3'-dimethoxybeizidine)の酸化による呈色を利用している。(3つのベンジジン類をテストしており、o-ジアニシジンがテストした中でもっとも感度が良いという結論をだしている。)なおこの酸化生成物にさらに1-ナフトールを作用させることでこの呈色反応をさらに高感度にする(インドフェノールブルーの形成)キットが販売されているが、これはナディ反応(Nadi reaction or peroxidase reaction)を利用したものだ。

 ちなみにo-ジアニシジンは発ガン性を持つ化合物なので注意が必要。ラボの仲間はワタシがチキンだと思っているよーだが、合成をやってきたからそんなコトはいえないのである。危険なものはキケンであるとしっかり認識すべきである。まあその前からトリクロロ酢酸でゲルを洗ったりするから、ヘムステインをやる際は必要以上に注意してしまう。トリクロロ酢酸の12.5%溶液でまずゲルを洗い、そのあとイオン交換水でトリクロロ酢酸を洗浄する。これに0.2gのo-ジアニシジンを180mLのイオン交換水に溶かし、ゲルに注ぐ直前にpH4.4で調整したクエン酸ナトリウム溶液と30%の過酸化水素水を加え、ゲルを浸しておく。そーするともしヘムを含むバンドがアル場合、最初は深い緑色に染色されるが徐々に茶色になる。満足いくまで染色したらイオン交換水で洗浄しておしまい。この原報で興味深いのはヘムがタンパク質に共有結合していない場合、変性条件でのヘムステインはうまく染色されないということだ。これは変性中にタンパク質からヘムがとれてしまうからだという。ウシ心臓由来のチトクロムcは共有結合のため変性させてもヘムステインで染色される。(だからヘムステインのポジティヴコントロールに使える。)またこれにさらにクマシアンブルーでの染色(SDS-PAGEで用いられる染色法)も可能であるというのも重要な要素だ。

 ワタシ自身の実験結果はあまり芳しくはなかったが1-ナフトールを作用させる方法(ナディ反応)も検討すべきかもしれない。

それぞれのものがたり

 なんだか週末になってカラダの調子がワルい。どうやら久しぶりに風邪っぽいものをひいたよーだ。まあたいしてひどくはないので、週末は基本的に部屋に引き籠もることにした。

 じつわ今週の半ばにガレージにクルマを持っていったのだ。理由は未だにDレンジにギアを入れても空転する症状が治らないためだ。ATFのレベルを確認すると、たしかにちょっと低い気がする。実際、しばらく運転すればギアが空回りする症状はなくなるのだ。これはATFの熱膨張が大きいためだと思う。つまりギアが暖まればATFも膨張して必要十分な体積となるためということ。そういうわけで今回はATFが汚いということもあり、ギアの洗浄とATFの入れ替え、ついでにオイル交換も頼んだ。オイルは半合成のバルボリンというメーカーの柔らかめ(5-30W)を頼む。バルボリンは日本でミニに乗っていたころからのお気に入りのオイルだ。少なくとも運転していて"やさしい"カンジがする。

 一月ほどまえクルマをパーキングスペースに入れる際、路面が凍結していて滑って隣のクルマのリアバンパーにぶつけてしまった。あいてのクルマはなんのダメージもなく、その辺は持ち主に伝えてあるのだが、問題はワタシのほう。コーナーランプが完全に割れてしまった上に、方向指示器がちゃんと機能しなくなってしまった。まあこれは電球のフィラメントが切れた為ということなので、スペアを町のショップで購入、そして取り付けることにした。破損したコーナーランプハウジングは通販であらかじめ購入してある。

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壊した場所と新品パーツフィラメントが切れた電球スペアパーツを購入


 電球の交換は簡単に出来たのだがコーナーライトハウジングを支えるノッチも完全に折れていたため、ハウジングをちゃんと固定できなかった。実はずいぶん前にこのノッチを含むヘッドライトマウンターのスペアを持っているのだが、これを取り付けるにはフロントバンパーをどうやら取り外さなければならない。今回は具合も悪かったのでそれはあきらめて、コーナーライトハウジングは絶縁テープで補強するにとどめた。もうちょっと暖かくなったらちゃんとやろうと思う。

 ついでにクルマの掃除もした。実はなんとなく車内が臭かったのである。おそらくトランクに入れてあった冷却水をぶちまけた為だと思っていたのだが、それだけではなく昨年にキャンプに行ったときに積んでいた米がトランク内にばらまかれていて、クーラントとブレンドされた上で気温が上がり、ちょっと発酵したためらしい。トランクの下部にあるスペアタイアの収納場所を見るとにおいの元をハッケンした。後は全部、トランクからモノを出してエタノールをぶちまけてしばらく自然乾燥させた。まあしばらくにおいが残りそうだから夏まで何回かコレを繰り返すつもりだ。


 昨日、日本に住む友人とチャットをした。最近、話題になっていた2ちゃんねるのスレッドについてだ。2つある。"ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない"と"暇だから、過去の恋愛話でも聞いてくれないか"だ。正直、ちょっと感動した。前者はニート生活を経た主人公が社会に出て戦っていく様が、後者はやはりニートだったキモオタに恋をする女性視点でのお話が綴られている。後者は特に"電車男"を彷彿させるデキなのだが、個人的には"電車男"にはネタ以上の感想しか持たなかったが、こちらはいろいろと考えさせられた。まっ時間があれば読んでみることをオススメします。

 こういったネット発信の物語を見ると、ホントーにさまざな目に見えない運命の流れ、それに抗うヒトまたは殻に閉じこもってしまうヒトがいるんだな~と思う。そして近年話題になっている"ヒキコモリ"とはなんなのかとかちょっと考えてしまうのだ。彼らをただ非難するのはたやすいけれど、それでは思考停止なのではないか。当たり前のことなんだけれど、もっと深く直視する時が遠からずおとずれるだろう。

ケータイの機種交換をした

 今週はタンパク質の精製で忙殺された。ワタシは冬になると手の甲の肌がカサカサになる。今年もそうなのだが、さらにタンパク質精製の為に水をいじる機会がたくさんあるため、もぅあかぎれがヒドくてヒドくて......さすがに今週後半にもなると出血し始めた。もう身を削るような精製である。その甲斐あってか精製されたタンパク質はなかなかよい収量でよい質。コレは日本の共同研究者行きのサンプルは確定なのだが......

 今週、思い立って携帯電話の機種交換をした。今まで使っていた携帯はMotorolaのv265というヤツでモンタナにやってきた時に機種交換をしたのであった。もうアレから3年近く経っているわけだ......モンタナでの3年間を共にしたこのv265ともとうとうお別れとなったのである。

 さてナゼ機種変更をしたのか?今回のはMOTO z6cというもの。まあ名前の通り、Motorolaのケータイだ。(個人的にMotorolaという会社は結構お気に入りなので、アメリカでケータイを契約してからずっとMotorolaのケータイではある)音楽も聴けるし、ネットも見られるというふれこみだが、ワタシ的にはその辺は興味がない。この機種を選んだもっとも重要な要素は、この機体、海外(米国外)でも使えるのだ。

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 技術的にはGSMの900と1800に対応しているらしく、(SIMカードがあれば)間違いなくヨーロッパでは使える。疑問に思ったのは日本での利用。○んぴらにも聞いたが(カレはGSMケータイのスペシャリスト?)日本でGSMは使えない。それは或る程度予想していたので、機種変の前にVerizon Wirelessのカスタマーサービスに電話して問い合わせてみた。しかし電話に出てきたヤツはこの機種が日本で使えるかどーかわからないという上に、もっと高いBlackBerryを薦める始末。そもそもBlackBerryだって使えるかわからないじゃん!!まああいかわらずVerizon Wirelessはカスタマーサービスがショボいなと思ったのである。

 まあそんなワケでBozemanにあるVerizon Wirelessのリセラーショップで聞いてみることにした。(ちなみにワタシのケータイはいまだにデラウェアのエリアコードなのでココでは機種変ができない)で、担当のフトッちょいわく、「モチロン使えるよ!!」と自信満々に言うのだよ、キミ。チョー、うそくせ~と思ってGSMネットワークが日本ではないという旨を尋ねると、CDMAのローミングを利用するから大丈夫なんだとか。(ちなみにVerizon WirelessはCDMAネットワークを採用している)疑心暗鬼になりつつも、「まっ、いいかっ」と思って機種変をしたのであった。少なくとも米国では使えるしね。

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送られてきた状態はこんなカンジSIMのスロットが見える


 まあそんなこんなでオンラインオーダーしたのがコレ。付属品には海外で使えるソケットがいくつか。ちょいショックだったのがこれまでの充電器が使えなくなったこと。どうもRAZRシリーズからはUSBのソケットを利用しているらしい。そのくせ一般的なUSBソケットとは互換がないので、Motorola製のブツを購入しなければならないらしい。あといいところといえばBluetooth対応だね。これならクルマでのハンズフリーがずいぶん楽。それにクルマだけではなく研究室でもケミカルに汚染された手でケータイに触らずにすむのがイイね。

 逆にフリップ型じゃなくなったのでこれまで使っていたケータイカバーを流用できなくなった。あれは落としてもそれなりにショックを吸収するのでよかったのだが......今回のヤツは落としたら即効でぶっこわれそうだョ......

 機種変に伴い新しい期待のアクティベーションをした。これはオンラインでできるのだが前回はなぜかうまくいかなくて結局電話するはめになったのである。さて今回はどーかといえば、つつがなく終わってしまった。これが3年という月日なのだろーかね。まあ何のトラブルもないのは良いことだけどね。逆に前のケータイにダウンロードしていたゲームがまったく使えなくなった。この辺はちょっと寂しい限りだ......

ああ~、耳がイタいね

 みなさま、ご無沙汰いたしておりました。お久しぶりの登場デス。今週は日本からコラボレータが訪米。EPR(電子スピン共鳴)の測定をお手伝いいたしました。なんだかんだ言って測定は午前様になりさらにその日の早朝にカレを空港まで送らなければならなかったので、30半ばの自分にはかなりきついスケジュール。まあ無事にカレをヒューストン行きの飛行機に乗せることができたけどね。

 さて某巨大匿名掲示板に気になるスレッドがたっていた。お題は"【論説】「頑張れば夢はかなう」は幻想だ、成功者の傲慢だ。そんなにうまくいかないのが普通なのだ…脚本家・山田太一氏"。いや~、ココロがイタイね~。以下、抜粋れす。

Q:あれもこれもやろうとしているビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

A:「あきらめるな」とよく言います。だから誰でもあきらめさえしなければ夢がかなうような
気がしてきますが、そんなことはあまりない。頑張れば何でもできると思うのは幻想だと
僕は思う。成功した人にインタビューするからそうなるのであって、失敗者には誰も
インタビューしてないじゃないですか。

 人間は、生まれ落ちた時からものすごく不平等なものです。国籍も容姿も選べない。
親も子供も選べない。配偶者だって、2、3の候補の中から選ぶのがせいぜいで、
それでもいいくらいのものでしょう?つまり限界だらけで僕らは生きているわけで、
そんなにうまくいかないのが普通なんです。その普通がいいんだと思わなければ、
挫折感ばかり抱えて心を病んでしまう。

 僕は一握りの成功者が「頑張れば夢はかなう」というのは傲慢だと思っています。
多くの人が前向きに生きるには、可能性のよき断念こそ必要ではないでしょうか。


Q:断念して前向きに生きるにはどうすればいいのですか?

A:自分の能力の限界を遠慮がちぐらいに設定して的を絞っていく。たくさんのことを
そこそこできそうでも、一番やりたい一つに絞る。これだったら努力すれば何とか
なるのではないかという見極めが30代ぐらいで必要でしょうね。その中で幸福感を
抱けそうなところに自分をだんだん限定していく。何でもかんでも引き受けていると、
切れ切れのスケジュールをこなすだけになってしまいます。

(以下略。全文は日経ビジネスアソシエ 2/19号をお読み下さい)
ソース(日経ビジネスアソシエ 2/19号)
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/BA1127.html



 さてさて、最近思うのは、日本はイヤな国になったなということ。日本人としてかなしいや。まあ上記のことはそれなりに核心をついているけどね。他にも毒ギョーザとか倖田來未バッシングみたいなイジメとかさ。他にも初心者を雪山に連れて行っていっしょに墜落、某公務員がジェット気流に熱気球で乗っかって太平洋横断するも行方不明とか......

 まっ、ひとりごと、ひっとりごと~。
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